ROHMはVCSELを搭載した高速高精度近接センサー「RPR-0730」を開発
2025-11-06
世界的に有名な半導体メーカーROHM(本社・京都市)は今日、ラベルプリンタや搬送装置を含む消費電子や産業機器への応用に広く適した、高速で移動する物体を検出できる小型で高精度な近接センサー「RPR-0730」を開発したと発表した。
工業設備と事務設備がより高性能、より多くの機能及びよりインテリジェント化の方向に発展するにつれて、センシング技術の精度向上に対してより高い要求を提出し、特にラベルプリンタ、サンプル転送装置及び複写機などの応用は、生産技術の最適化などによる速度向上のほか、目標物をより正確に識別できる技術を備える必要があるため、高速かつ高精度な近接センサの導入が重要となっている。これらのニーズに対応するため、ROHMはVCSELを発光素子とし、受光素子としてフォトトランジスタを用いたアナログ量接近センサ「RPR-0730」を発売した。この製品は、従来のLED光源では認識しにくい微細なターゲットを高速かつ高精度に感知することができる。
「RPR-0730」は、反射型の小型近接センサ(反射型光電センサ*1)である。LEDより指向性に優れた赤外線VCSEL*2を発光素子として採用することにより、より微細なスケールの検出を実現した。また、アナログ出力機能を有するフォトトランジスタ*3を受光素子として採用することにより、10マイクロ秒(µs)の高速応答性能を実現している。この2つの大きな利点を組み合わせて、従来のLED光源では検出しにくい0.1 mm幅の微細線体を高速かつ正確に識別することができる。従来のデジタル出力型製品「RPR-0720」シリーズの新たなメンバーとして、コピー機やラベルプリンタの印刷検出、モータやギアの回転検出など、より高速なセンシングが必要なアプリケーションを含む、本製品の応用範囲はより広くなっている。
新製品のパッケージサイズは2.0 mm×1.0 mm×0.55 mmと非常に小さく、可視光遮断フィルタ樹脂を採用することで、照明や太陽光などの干渉光の影響を効果的に抑制することができる。そのため、工場や屋外など光環境が変化しやすい場所でも、安定した検出を実現することができる。また、本製品は、搬送装置内部や精密機器など、狭い空間に設置する必要がある機器にも容易に設置できるため、その応用範囲は広い。
新製品は2025年10月から量産を開始している(サンプル価格350円/個、税別)。また、新製品の電子商取引も始まっている。
将来的には、ROHMは発光と受光素子の開発技術の優位性を利用して、顧客のニーズを満たすセンシング製品の開発を続け、各種設備の利便性向上と小型化を支援する。
<ラインナップ>
<応用例>
・ラベルプリンタ、複写機、シュレッダーの印刷検出や紙送り/紙詰まり検出など
・搬送設備、自動検出装置の荷物/サンプル等の物体検出、ワーク位置検出等
・産業機器用ロボットのモータや歯車の回転検出等
<用語解説>
*1)反射型光電センサ
発光素子と受光素子を結合した光センサ。対象物に光を照射し、その反射光強度を検出することで、物体の存在の有無や距離を判断することができる。
*2) VCSEL
Vertical Cavity Surface Emitting LASER(垂直共振器面発光レーザ)の略。レーザ光源の一種であり、表面から直接光を放射することができる半導体レーザである。LEDに比べて指向性が良く、高精度センシング用途に適している。当初は主に光通信分野に用いられていたが、近年では近接センサや測距センサの発光光源としても用いられることが増えている。
*3)フォトトランジスタ
光信号を電気信号に変換するトランジスタ型光電変換装置。フォトダイオードとトランジスタを一体化し、光によってベース電流を制御し、増幅されたコレクタ電流を出力する。